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“男”と“女”両方いるからいい…中学校の合唱指導より

小学校2校に勤務した後、

十数年ぶりに中学校に勤務した時のことです。

 

その学校には、学校行事として合唱コンクールがあり、

毎年とても盛り上がっているということでした。

 

 実際に練習が始まると、

生徒たちのパワーに圧倒されそうでした。

中学生のパワーって凄いです!

 

そして、本番、

審査員として、校内全クラスの演奏を聴いたのですが、 

学級紹介を聴いているうちに、

多くのクラスが、同じようなことを言っていることに気づきました。

 

 おおよそ、次のような内容です。

 

「途中で、男子と女子が喧嘩になり、練習ができないときがありました。

 でも、それを乗り越えて、素晴らしい合唱ができるようになりました…」

 

確かに、このようなことは、よく起きることなのですが、

まるで、

仲違いをして練習ができない時期があったからこそ、

素晴らしい合唱ができるようになった

と思っているかのように感じました。

 

~それって、仲違いをしないでずっと練習し続けたら、

もっと上手になっていたということでしょう???~

と思い、

 

授業中の生徒たちの様子から、

どうしたら、仲違いせずに練習を進めることができそうかを考えてみました。

 

 

そして、

合唱コンクールの曲の授業の最初のパート練習では、

必ず、女子生徒たちに話をする時間を作ることにしました。

 

どんなことを話したかといいますと、

 

合唱コンクールの練習が成功するかどうかは、女子次第のようなところがある。

 

 パート練習をしている男子の態度は、

 女子から見ると、

 ふざけているように見える人や

 やる気がないように見える人がいるなど、

 気になることが出てくるとは思うけれど、

 それを厳しい口調で注意することはしない方がいい。

 

 

 男子にもプライドがあるから、

 「どうせ、俺たちなんて・・・」って感じでふてくされて、

 ますます練習をしなくなるから…。

 

(ここのところで、「確かに。すぐにそう言います!」とちょっと盛り上がります)

 

 

女子は、自分達がこつこつと練習するから、

ついつい厳しい口調で注意したくなる気持ちも分かるけれど、

 

合唱コンクールが近くなって、

男子がパワー全開になったら、

 

女子がずっとこつこつと積み重ねてきた分なんて、

すぐに追い抜いてしまう。

 

 

だから、

男子を非難するより、

男子がやる気を出すような雰囲気づくりと、

自分達が練習をしっかりと積み重ねて上手になっておくことが大切。

 

 

そして、

男子の歌が、ちょっと上手になったと思った時に、

素直に思ったことを伝える。(褒める)

 

褒め方の練習もしていました。

みんなで言ってみると、楽しいです。

褒め言葉はパワフルですから…

 

 

女子に認めてもらえたと思えば、

男子は、すごく張り切って練習をするようになり、

めきめき上達する。

 

すると、

男子は、声量も急にぐんとアップする。

 

もし、この時、

女子がしっかりとした発声方法で歌うことができるようになっていない場合は

どうなるか…。

 

せっかく出るようになった男子の声量を抑えないといけなくなる。

 

だから、その時のために、

女子は、まずは、こつこつと自分達の技能を磨く必要がある・・・

といったようなことを話しました。

 

 

発声に関して言えば、

男子は、CDなどをかけて、「この歌い方を真似してみて」というだけで、

気持ちがのっていれば、すぐに発声の仕方を変えることができます。

 

 

でも、女子の場合は、

真似をすることが、なかなかできません。

 

発声にしても、体の使い方にしても、

細かい指導と、時間をかけての練習が必要になります。

 

 

ですから、実際に、

女子に話した通りの状況になっていきました。

 

 

そして、トラブルはなくなり、

コンクール直前には、

歌い終わると同時に、自然と拍手がわき上がったり、

涙を流したりする様子が見られるようになりました。

 

男子と女子の声が合わさり、

気持ちが一つになった時、

大きな感動を味わうことができます。

 

 

男子と女子それぞれの特性を認め合うことなしでは

この感動にたどり着くことはできないのだと思います。

 

 

この世に男と女がいて、

それぞれの特性があり、同じではないからこそ素晴らしい

ということも多くあるのではないかと思います。。。。