私は、約4年前まで教員をしていました。
教員になって6年目、声帯にポリープができてしまいました。
病院では、もう治ることはないだろうと言われ、
声が思うように出ない期間は、十数年間に及びました。
その間、
朝、目が覚めると、声が全く出ない…
どんなに頑張って出そうとしても、出るのは息だけ…
ということが何度もありました。
そんなとき、
低学年から高学年、中学生、どの学年の子たちも、
普段とっても元気いっぱいで賑やかなクラスであっても、
みんな反応は同じでした。
「今日は、声が出ません」と黒板に書くと、
驚きの視線が私に集まります。
小学生ですと、必ず、
「本当?先生、声を出してみてください」と言う子がいましたので、
息だけで話をしてみせました。
本当に声が出ないとわかった子どもたちは、
私が黒板に書く文字を、全くおしゃべりすることもなく読み、
書かれたことを行動に移し、
私が何かを指すと
「それをやるんですね?わかりました!」といった感じで
私が何かを伝えたい時には、必ず気づいてくれ、
おしゃべりをしている子たちがいると、
声をかけ合って、静かになります。
普段と違う状況を楽しんでいるということもあったでしょうが、
長いときには、1週間その状態が続いても、
子どもたちのお陰で授業は成り立っていました。
小学校では、ほとんどの授業を担任が行いますから、
その状態で1週間過ごすというのは、
元気いっぱいの子どもたちにとって大変なことのはずです。
子どもたちの優しさがありがたく、
声が出なくなることはつらいけれど、
子どもたちの優しさに気づくチャンスを与えてもらえたことに
感謝する気持ちになりました。
そして、何かを伝えるということにおいて、
「話す」ということにどれほど頼っているかということを思い知ることになり、
他の伝達手段の良さに気づくチャンスにもなりました。
声が出るようになると、
「先生の声が出た!やったー!」
と大喜びの子どもたち。。。。
そして、それまで我慢していた分を取り戻すかのように、
パワー全開!
でも、あんなに我慢してくれたのだから、
少しくらい羽根を伸ばし過ぎたって、大目に見てあげなくては…
子どもたちって、まるで天使のよう
そんなふうに思いながら、
子どもたちの元気いっぱいの笑顔を
優しい気持ちで眺めることができました 。。。。