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“ぼくは悪い子”・・・

小学校1年生だったK君。

 

運動大好き、外で遊ぶことも大好き。

休み時間になると、

みんなに声をかけて外へ遊びに。

 

いつも元気いっぱい。

 

でも、時には喧嘩になって

腕力が強いK君が悪者にされてしまったり、

“乱暴な子”と言われたりすることもありました。

 

 

 

ある日、学級担任だった私は、体調がよくないのに、無理をして出勤しました。

 

給食が終わり、清掃の時間になった時、K君が近寄って来て言いました。

 

「先生、顔の色が青いよ。大丈夫?」

 

「ちょっとだけ調子が悪いけど、大丈夫だからね。ありがとう。」

と答えると、K君は、

 

「今日の掃除は、ぼくたちだけでやるから、先生はここに座ってて。」

と言って、椅子を持って来てくれました。

 

「掃除はできるから大丈夫だよ…」

と言う私の手を取って椅子に座らせると、

自分のロッカーからジャンパーを持って来て、私の肩にかけてくれました。

 

 その様子を見た他の子たちも、「先生の分まで、がんばるぞ。」と言い出し、

教室は、みるみるきれいになっていきました。

 

掃除が終わった後、K君に、

「ありがとう。K君は、本当にやさしいね。」と言ったところ、

K君は、首を横に振って言いました。

 

「ううん。みんな、ぼくのことを “悪い子” だって言うよ。」

 

「そんなことないよ。K君は、すごくやさしいよ。」という私に、K君は、

「先生、ありがとう。」

と微笑んで、外へ遊びに行きました。

 

彼の心の中にある “さみしさ” が、私の心に刺さったように感じました。

 

K君のやさしさに気づいてくれる人の中で過ごすことができたら、

彼は、“悪者”になることはないだろうけれど・・・

 

 

K君が自分の中にある輝きに気づき、自分のことを大切に思える時が来ることを

願わずにはいられませんでした。。。。