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教員卒業まで(5)~卒業式~

修了式の日、

“子どもたちと過ごす生活にピリオドを打つ・・・”

ということを、とても穏やかな気持ちで受け止めていました。

 

 

修了式の前に、清掃の時間がありました。

清掃活動というのは、子どもたちの素の姿が現れやすいです。

「きれいにするのって、気持ちいい」

そんな思いで取り組んで欲しいと思ってきました。

 

でも、修了式前の清掃の時間、

子どもたちの様子が変でした。

 

どの子も、落ち着きがなく、

時には、他の子とぼそぼそと話をしている…

ロッカーの中を気にし、

私の行動に注目しているように感じることもありました…

 

ああ、最後の清掃活動がこの状態って…

子どもたちに、掃除の大切さや楽しさを伝えられなかったんだな。。。。。

 

まあ、

自分にとって、教員として子どもたちと過ごす最後の時間だからといって、

子どもたちに理想の姿を見せて欲しいと思うのは、自分勝手過ぎるわ。。。。。

 

そんなことを考えながら修了式の会場へ向かいました。

 

 

修了式が終わり、

学級の時間になりました。

 

最後の学級指導ということで、

準備を念入りにして行ったと思います。

でも、何を話したのか、今となっては全く覚えていません。

 

この後の子どもたちの行動によって、

他の記憶はどこかへとんでしまったようです。

 


*   *   *   *   *

 

学級指導が終わって、「さよなら」のあいさつをした直後、

子どもたちが、お互いに声を掛け合って、教室の後方に並びました。

 

学級委員が前に出て、全員で

「先生、1年間ありがとうございました」・・・

 

担任である私に感謝の気持ちを伝えたいと、みんなで相談して、

ひとりひとり手紙を書いて渡そうということになったそうです。

 

それぞれ自分で準備した封筒を手に持ち、

一人一人お礼を言いながら渡してくれました。

 

「 ああ、これがロッカーに入っていたんだ。

だから、私に見つからないように、気にしていたわけね…。

小学校4年生の子たちが、

他の先生に相談することもなく、自分たちで準備したことだから、

いつ手紙を渡したらよいかわからずに、

朝からずっとタイミングをうかがっていたんだ…」

 

朝からの子どもたちのすべての行動が腑に落ちました。

 

 

数日前から相談して、手紙を書くと決めたものの

男の子の中には、レターセットを持ってないという子たちもいたそうで、

そういう子たちには、他の子が分けてあげたそうです。

 

そして、全員渡すことができるように、

お互いに出来上がったかどうかを確認し合ったりもしたそうです。

 

 

この時、子どもたちは、私が退職することは知りませんでした。

 

 

「1年間担任してもらったお礼をしたい」

そんな純粋な気持ちから、自分たちで考え、行動に移したようです。

 

 

笑顔いっぱいの子どもたちが、キラキラ輝いて見えました。

 

 

 

そして、

私にとって、これは子どもたちから贈られた

 

「卒業式」

 

だと感じました。

 

 

 

素敵な卒業式をありがとう。。。。。

 

 

 

最高に幸せでした。。。。。